732人が本棚に入れています
本棚に追加
なぜ、そうなってしまったのか。正直、周自身もよくわからない。
あれよあれよという間に、連絡先を交換することになり、次回のヘアトリートメントの予約も入れてしまったのだった。
さらには、『足、痛いでしょ?』とパンプスを剥ぎ取られ、彼の私物だというスニーカーを履かされて帰宅する羽目になるとは。
「昨日の迂闊な自分が憎い……!」
ここが自室ならば、顔を覆ってゴロゴロと左右にローリングする勢いだ。もちろん、ここは職場なので自重する。動揺してはいるが、そこまで理性を失ってはいない。
なお、件のスニーカーは、帰宅して早々、クローゼットに隠すように押し込んだ。
彼氏のいない地味な長女が、男物の靴を履いて帰ってきたことが知られれば、家族は大騒ぎするに違いない。特に、妹からの容赦ない尋問は避けられないだろう。想像するだけで、周は気が滅入った。
しかも、問題はそれだけでは終わらない……!
最初のコメントを投稿しよう!