720人が本棚に入れています
本棚に追加
/382ページ
「あ、ありがとう……ございます……」
思わず顔を背けようとした周だが、再び岩崎の腕の中にすっぽりとおさまる。
逃れようと胸を押すが、びくともしない。一見華奢に見えるが意外と力強く、彼がオトナのオトコであることを意識させられる。
先ほどまで感じていた“守られている”という感覚はどこへやら、“狙われている”という危機感が周を苛む。捕食者と被食者のような関係性を想像し、背中に冷たいものが流れる。
──あれ? 私、早まった?
そんな焦る気持ちなどお構いなしに、岩崎は周を腕の中に閉じ込めたまま。身をよじるが、離してくれる気配は微塵も感じられない
胡散臭いほどの完璧な笑みを浮かべて、彼は甘い声でささやいたのだった。
「キレイになるために、まずはオレとデートしよっか?」
最初のコメントを投稿しよう!