遅咲きのシンデレラガール

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「あ、ありがとう……ございます……」 思わず顔を背けようとした(あまね)だが、再び岩崎(いわさき)の腕の中にすっぽりとおさまる。 逃れようと胸を押すが、びくともしない。一見華奢(きゃしゃ)に見えるが意外と力強く、彼がであることを意識させられる。 先ほどまで感じていた“守られている”という感覚はどこへやら、“狙われている”という危機感が(あまね)(さいな)む。捕食者と被食者のような関係性を想像し、背中に冷たいものが流れる。 ──あれ? 私、早まった? そんな(あせ)る気持ちなどお構いなしに、岩崎は(あまね)を腕の中に閉じ込めたまま。身をよじるが、離してくれる気配は微塵(みじん)も感じられない 胡散(うさん)(くさ)いほどの完璧な笑みを浮かべて、彼は甘い声でささやいたのだった。 「キレイになるために、まずはオレとデートしよっか?」
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