遅咲きのシンデレラガール

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「え?」 思わず顔を上げれば、“ニッコリ”と形容するしかないような笑みを浮かべる岩崎(いわさき)の丸い目と視線がぶつかる。 「ちゃーんと服で来てね」 「!?」 なんで? と(なか)ば悲鳴に似た声を上げる(あまね)。その(くちびる)を人差し指で触れた彼は、わざとらしく首を(かし)げてみせた。 「ひみつ」 そう言って、(つや)めいた眼差(まなざ)しを向ける。子犬とは言い難い、肉食獣(ぜん)としたその動作に、(あまね)はますます(あせ)りを感じたのだった。
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