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──ちゃーんと脱ぎやすい服で来てね。
その言葉を、言葉通りに素直に受け取って、周が選んだのは爽やかなカシュクールタイプのストライプワンピース。ラベンダー色の太めのストライプと同じ柄のウエストのマークが特徴的だ。
緩く編んだ髪の毛の隙間から、大振りのサークルウッドイヤリングが顔をのぞかせる。妹の一彩が、先日どこかのクリエイターズマーケットで購入したというこのイヤリングは、ワンピースとあわせて周がレンタルしている。
『脱ぎやすい? 脱がせやすいじゃなくて??』
頼んでもいないのに、姉のファッションアドバイザーを申し出た一彩だったが、周の発言に目を丸くして問い返した。
『…………なに言ってるの、一彩サンは』
虚無感の漂う眼差しで妹を一瞥すれば、彼女はさらに空虚な光をその瞳に宿す。
『周ちゃんの方こそ、なに言ってんの?』
だって、デートだよ?
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