第一話 家族ではない。

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 そういえば、由理(ゆり)がセーラー服を着て、俺を起こすのは、初めてである。そこで、思い出した。 「今日から、学校だっけ?」 「その通り、早く行こ」  きびすを返し、由理は、部屋を出ていった。  因みに、今は、朝の五時半。普通に学校に行くには、早く起きすぎているのだ。しかし、この時間に起きるのは、いつものことで、別に変な事ではない。由理の言った「早く行こ」は、本当に早く登校する意があったりする。  俺と由理は、今日から水守(みもり)中学校の二年生に為る。転入してきたのだから、当然、今までと制服が変わり、俺は学ランを、由理はセーラー服を着るのだ。学ランなんて、カラーで首が絞まりそうである。生徒手帳に書かれた校則を後で読んでおこう。もしかしたら、授業中は、学ランを脱ぐことが許されているかもしれない。  何とか、目をはっきりと覚まし、頭がはっきりしてきた。俺は、壁に掛けてある制服を手に取った。前述した通り、黒の学ラン。カラーには、水守中学校の校章が付いている。本来なら付けておくはずのクラス章は、初登校日の今日、学校で貰えると聞いている。しかし、誰から聞いたのかは覚えていないので、あまり証拠能力がない話になってしまっている。
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