第一話 家族ではない。

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 部屋を出て、最初に目に飛び込んできたのは、やはり新奇な廊下だった。いったい何時になったら、家の風景に馴れるのだろう? なんとなく呆れる。  廊下を進み、リビングに入り、隣接するダイニングキッチンまで歩いていった。そこでは、由理(ゆり)が朝食を用意して、待っていた。  俺を見た由理が突然謎の声をあげた。 「あちゃー……」 「?」 「似合ってねぇーわ、学ラン」  余計なお世話だ。 「俺に似合う服など無い」  俺は、威張るでもなく、当然のように発言した。 「いや、あるから、無いのは武次(たけし)のセンス」  由理はそう言いながら、ちょうどチンと鳴ったトースターからトーストを二枚取りだし、二つの皿に乗せる。そうして、フライパンを手にして、既に焼かれていた目玉焼きをトーストの上に乗せていた。 「さ、食べるよぉ~♪」  そう言いながら、席につく由理。束の間の既視感を感じる俺。いったい、何の既視感だろうか? ま、いっか。  特に気にせずに、俺も一緒に席についた。
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