1人が本棚に入れています
本棚に追加
午前6時。時計の分針が信用出来ないので、大体そのぐらいの時刻であることしか分からない。まあ、つまり、5時45分位かもしれないし、6時15分位かもしれない。この家の一番目立つ時計は、いつも曖昧なのだ。
俺達は、登校しようと、玄関で靴を履く。
俺は、由理に確認を入れる。
「ちゃんと荷物持ったか?」
「持ってくものほとんど無いもん」
持っていく必要があるとされているものは少ない、という意だろう。しかし、持っていくべきものが手元に無い、という意味にも文面上は捉えられてしまうことが、意味もなく気にかかる。まぁ、言う必要が無いので黙っておこう。
「始業式しかないもんな」
「じゃ、行こっか」
「あぁ」
俺達は、玄関から出て、鍵をかけた。ノブを回して、ドアが開かないか確認する。
「よし、大丈夫」
さて、行くか。
これから始まるのは、単なる登校ではない。散歩なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!