瓜太郎

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 幕末、元号を文久と言った頃、吉備の国に老夫婦が住んでいました。  或る日も、おじいさんは山へ芝刈りに出かけました。  おばあさんは川で洗濯をしていると、どんぶりこ、どんぶらこと川上から大きな西瓜が流れてきました。  それを見たおばあさんは、儲けたと思って傍にあった竹竿で西瓜を手繰り寄せ、川から持ち上げると、腰を抜かしながらも運動会の玉転がしみたいに家まで転がして行きました。  そして早速、割ってみようと包丁で西瓜に切り込んだところ割れ目が見る見る裂けて来て西瓜が真っ二つに割れ、中から大きな男の赤ちゃんが目を回しながら出てきました。  これまで子宝に恵まれなかったのでおばあさんは芝刈りから帰って来たおじいさんと万歳しながら喜び合い、西瓜から生まれたのだからと赤ちゃんを西瓜の瓜の字を取って瓜太郎と名付け、育てることにしました。
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