02.

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02.

俺が宙に浮いた次の日。 自分の身に起きた謎現象を解明させるべく、まずは父上に相談してみることにした。 一応小国でも王様ですし?周りの偉い人たちが何か知ってたりするかもですし?なんて淡い期待を胸に父上がいる執務室へと足を運ぶ。 ここでちょっとうちの建物事情について聞いてほしいんだが、なんと我が国、国全体がどでかい樹の中あるんですね!すごいファンタジー! 地球じゃ考えられないような大きさの樹の中に城とか家とか店とか公園とか畑とかを妖精さんたちが作っているのだ。妖精さんまじ万能。 だがしかし妖精さんたちも国民もほわほわぽわぽわ系のため、後のことを何も考えないで作るせいで扉を開けたら壁とか穴とか、階段の上に川が流れてたりよくわからない穴が空いていたり、樹の中なのに庭園があったり、森があったりで控えめにいってもただの迷路なのだ。 しかもはた迷惑なことに定期的に位置が変わったりする。もしかしてここはダンジョン…? 一応城の位置だけは変えないみたいだけど、城中の部屋の位置はやっぱり定期的に変わっている。 妖精さん曰く「あきちゃったからかえた!」とのことらしい。やめろ。 そんな迷路の中でみんなどうやって生活しているんだと疑問に思うがそこは例のごとく妖精さんが道を教えてくれるらしい。まあ俺にはみえないので?日々行き当たりばったりでどうにかこうにか生活しているわけですよ。 まあ毎日微妙に景色が違うから結構楽しいからいいんだけど、日によっては迷子になって致し方なく周りにいる誰かに案内してもらったりする。 今日も今日とて行き当たりばったりで自分の部屋から父上の執務室まで向かっている訳だが、運良く近くに設置されていたのでそんなに時間をかけず辿りつくことができた。 俺はるんるん気分のまま勢いよく扉を開ける。 「父上、ちょっと聞きたいことがあるんですけど!」 すると目に入ってきたのは、俺の父上であり国王のアルフレット・フォン・シェインデル王と宰相であるテオドールの濃厚なキスシーンであった。 真昼間の職場で何をやっているんだと呆れながらも、この国では同性同士のイチャコラもよくある光景なので構わず執務室に入る。他人の恋愛事情に寛容なお国柄なのだ、うちは。 ちなみに王族に限り複数の女性または男性を娶ることができるのでテオドールも王の伴侶の1人だが、俺の母親ではない。 俺を産んでくれたのはフェリシア妃といって2人の幼なじみである美しい女性だ。 関係だけ聞くと泥沼三角関係か?と思うが、テオドールとフェリシアは大変仲が良く2人で父上を支えていこうと誓ったとかなんとか。 現代日本では考えられない話だが、そもそも世界が違うし比べるのもおかしな話だろう。まあそういうこともあるよね! 「—っ、ふ…ぁ、ある…」 テオドールは蕩けた顔で父上の腕を叩き、一応俺が来たことを訴えようとしているのだが父上が全然離す気がないようで左腕で腰を抱き右手で首の後ろを固定し、なんなら先ほどよりも口付けを深くしている。 息も絶え絶えのテオドールを支えながらチラリと俺をみた父上は、逆側の手を動かし指を2本立てた。 …なるほど一発しっぽり決め込むから2時間後にまた来いということですね。 この国ツートップがあんなんでよく国がまわるというかなんというか… 2人の舌が絡まり時折唾液を吸う音が響く部屋から俺は大きなため息をつきながら撤退した。 妖精さんのイタズラで部屋の配置が変更される可能性を考えると、できれば執務室の前から動きたくないんだけどテオドールの喘ぎ声が聞えてきそうだからどこか違う場所に行かねばならない。 「先にかあさまに相談してみるか…」
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