11人が本棚に入れています
本棚に追加
01.
どうもこんにちは、前世でトラックとぶつかって転生、所謂トラ転で異世界に爆誕した俺です。
前世では社畜系ソシャゲ廃課金戦士でした。
若さにかまけて睡眠時間をひたすら削りながらソシャゲをしていたのが悪いのか、慢性の睡眠不足を抱えたまま道路を歩いていたら何故かトラックが突っ込んできて、判断力が鈍りに鈍っていた俺は避けることもせずそのままトラックと衝突。
そして帰らぬ人となったのでした。ちゃんちゃん。暗転。
そうして気が付いたら異世界で赤ちゃんになっていました。
最初は驚きすぎてギャン泣きしたよね。そしてギャン泣きしたことにびっくりしてさらに泣いた。精神年齢がどんなに大人であっても身体に引きずられるのかな…なんの恥じらいも無く泣いた。すごい泣いた。そして疲れて寝た。
その後の記憶が曖昧で、多分寝て起きてご飯食べて寝てみたいなのを繰り返して、気が付いたら2歳になって、そのままボーっとしてたら3歳になって、なんやかんやあって現在7歳になりました。時の流れは早いですね。
この世界での両親はなんと一国の主で、俺は第一王子として生まれてしまったのだ。
第一子が男であったため両親はそれはそれは喜んだらしいんだけど、その息子、つまり俺には重大な欠陥があった。
我がシェインデル王国に生まれた人間は生まれた時から妖精さんとお話できるファンタジー能力を持っているらしいんだけど、俺にはその能力が備わっていなかったのだ!
我が国島国の上に鎖国していて、他国との交流を一切したことがないので外国人?の血が入ることもないし、俺の顔立ちもちゃんと両親を足して二で割ったような顔をしているので確実に両親の子供のはずなのに何故…?
困った時に助けてくれる妖精さんもこの時ばかりは首をかしげ、国王も首をかしげ、国の重鎮たちも首をかしげ、国中のみんなが首をかしげたがやっぱり原因はわからずじまいだった。
国中が首をかしげる中、すくすくと育った俺であったがある日不思議な体験した。
いつものようにすれ違う人々に首を傾げられながら城の中を元気よく走り回ったり、近所の森で走り回ったり、木から木へと飛び回って遊んでいた。
王宮の裏側にある森には野生動物が住みついていて、友達もおらず妖精さんとも語り合えない俺は日々野生動物たちと戯れているわけだが、いくら猿のように身軽であっても本物の猿に追いかけっこで勝てるはずもなく、ついムキになって追いかけて遊んでいたらうっかり木から足を踏み外した。
ふわっとした浮遊感が俺をおそい、これは地面と衝突待ったなし我が人生もここまでかとギュッと目をつぶりせめて頭ぐらいは守ろうと身を小さくしたが、いつまで経っても衝撃がこない。それどころか落ちてる感覚もない。
おそるおそる目を開けると、なんと宙に浮いているではないか。宙に浮いている?
「いや、意味がわからないんだが?」
俺には見ることができない妖精さんが助けてくれたのかと思ったが、どうも俺が妖精さんをみることができないように妖精さんからも俺が見えないらしいので、助けるもクソもないわけだ。
つまりこれは己の力…?こわ…急に何かの力目覚めちゃったの…?
宙に浮く力より妖精さんと話せる力をくれ。まじで。
そもそもこの国は妖精さんと話せるやつが住むという大前提のもと運営設計されているため、見えないやつのことは考えられてない。
例えば、火をおこすのも綺麗な水を出すのも妖精さんだし、物を作るのも妖精さんだし、誰かを呼び出す時も妖精さんに声を届けてもらうし、お皿を洗うのも料理を美味しくしてくれるのも野菜を作ってくれるのも全部妖精さんだ。電気ガス水道通信その他もろもろ全てを妖精さんがカバーしている。妖精さんすごい!
幸にも俺は王族として生まれたのであまり困っていないが、もし一般市民だったら大変だっただろう。絶対就職できない。家の手伝いもできない。働かない引きこもりの強制誕生である。
過去に同じような人がいたのかどうかくらいは調べたいと思ったが、我が国は文字が存在しない文化のため文献というか本が存在しないので調べようにないんだよな。
過去に起こったあれやそれをどうやって子孫に伝えているんだと純粋に疑問なんだが、そこは困った時の妖精さんである。あとは歌とか踊りとかで後世に伝えてきたそうな。
調べる手段が何もないしもう考えるのも面倒になってきたので、とりあえずこのことは保留にしてまた明日から頑張ることにしよう、そうしよう。
がんばれ明日の俺!
最初のコメントを投稿しよう!