絶体絶命

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別荘に戻ると、悠ちゃんに連れられてお風呂場に入り、温かいシャワーを浴びる。しばらくお湯をかけられて、冷えた身体は温まった筈なのに、震えが止まらない。 悠ちゃんがシャワーを止めて、ピタリと肌を合わせて僕を抱きしめ、耳の傍で囁いた。 「玲…、俺がおまえから離れたから…ごめんな。怖かったな。だけどもう大丈夫だから。あいつが捕まったところ、見てただろ?それに、もう二度と、俺はおまえの傍を離れない。何があっても…」 「うん…。悠ちゃん…っ、傍にいて…僕から離れないで…。僕を見ていて…」 「ああ、ずっと見てるよ。これからはずっと」 悠ちゃんの大きな手が、僕の背中を何度も撫でる。ようやく震えが治まってきた僕は、濡れた顔を上げて、悠ちゃんを見た。 小さく口を開けた僕の唇に、悠ちゃんがかぶりつく。僕の舌に激しく絡まる舌の熱さに、冷えた身体の芯が、ようやく温かくなった気がした。 身体を拭いて、タオルを腰に巻いたまま二階に上がる。部屋着を着ると、二人でベッドに寝転んだ。悠ちゃんが、繰り返し繰り返し、僕の名前を小さく呟く。その声の心地よさと、僕の身体を包む温かい温度に、自然と瞼が降りて眠りについた。 何度かぼんやりと目を開けたけど、悠ちゃんが傍にいることを確認すると、安心してまた目を閉じた。 一度だけ、目を開けた時に悠ちゃんが傍にいなくて、寝ぼけながら部屋を出た。でもすぐに悠ちゃんが階段を上がってきて、僕は安堵の溜め息を吐いた。 「起きたのか?どうする?何か食べるか?」 「…いらない。悠ちゃん…傍にいて…」 悠ちゃんが、僕の顔を覗き込んで聞いてきたけど、食欲がなかった僕は、悠ちゃんの胸に顔を擦りつけて小さく呟いた。 「いいよ」と言った悠ちゃんに、またベッドに運ばれる。悠ちゃんが持ってきたペットボトルの水を少し飲んで、また悠ちゃんと一緒に寝転んだ。 「悠ちゃん…僕から離れたら…やだ…」 「うん、ごめんな。ちょっと涼と話してた。もうどこにも行かねぇよ」 「ん、約束…」 「約束だ」 その言葉に僕は小さく笑うと、再びすーっと眠ってしまった。
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