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次の日曜日……
ジュンとカナは、よく行く『ジャンノ』というカフェに来ていた。
カナは、例の不思議な玉をどうやって手に入れたか話した。
するとジュンが、3人の銀行強盗の始末に、不思議な玉の力を使ったと話した。
カナは笑顔で、コーヒーを一口飲んでから、
「……で、その3人組の強盗は、何処へ移したの?」
ジュンも、ブラックコーヒーを一口飲むと顔を上げ、窓から見える空を見ながら、
「あそこさ……」
「えっ、あそこって……空? 雲?」
「いやいや、月だよ……。地球の周りを回っている月に移せ……って言ったんだ……」
「わーお! えらく遠くへ移動させたのね……」
「あんなヤツら、地球に置いておく訳にはいかないから……」
カナはジュンを見詰めて、
「なーんか元気ないね……。そんなにショックだった? あの不思議な玉が溶けた事……」
「……ショックだったって言うか……あまりにも素晴らしい玉だったからさ……」
「そっか……。だけど……奇跡って、そんなに続くもんじゃないでしょ……」
「なるほど……。あ、こんなに良い天気のデートが台無しだよね……。もう大丈夫だよ」
と笑い、またコーヒーを飲んだ。
「ところで、先日『美大前駅』の踏み切りで奇跡が起きたって、ニュースになってたよね……。あの犯人て、ジュンじゃないの?」
「犯人という言い方は、どうかと思うけど……そうだよ」
「やっぱり……。その母親が、神様とか信じてなくて、きっと誰かが助けてくれたんだって、探してるらしいよ。どうする?」
「無論、スルーするよ。第一、なんて説明するのさ」
「だよねー」
あらためて、2人は笑った。
――終――
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