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あれから僕は、スマホ内に貯めていた小説の一つを、カゲツさんが利用しているサイトに投稿した。 自分にとってあまり面白くないと思っていた作品だったが、案外評価してくれる人は多かった。
『カゲツ〉 良いね、この作品! 現代高校生のリアルな苦悩が伝わってくるよ。』
カゲツ、とは、ペンネームだったのだ。
なんでも、本名を教えて通報されたら困るから、らしい。 何だよそれ、と思ったものだ。
僕は自然と上がっていた口角を無理やり下げて、返信を送った。
『フミ〉 ありがとうございます。 小説が僕の成長を伝える媒体となるよう、研鑽を積んで行きます。 あの日、声を掛けてくれてありがとうございました。』
『カゲツ〉 どういたしまして。 君の人生に、幸あらんことを。』
また一つ、小説にあらたな評価が付けられた。
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