最高の出会い

　いやー、最初に到着した惑星も、次の惑星もすっごい良いところだったんだよ。草木が豊富で、水も豊富で……文明とかはそんなに育ってなかったけどさ。俺らがのんびり暮らしていいくのには最適な星だったんだよね。
　先述したように、俺達はゼロから生き物を作り出すってことはできない。
　既にいる生き物を操作して、繁栄させていきつつ共存していく道しかないわけ。
　で、どうやって操作するのかっていうとね、その惑星で一番強そうな奴らを中心にとり憑くわけなんですよ。あ、言い忘れてたんだけど、俺らって大抵の生物よりずーっと小さいんだよ。だから、多くの生き物の口とか耳とか目とかから入って、脳に辿り着いて寄生するわけ。で、そいつの思想とか行動を操って、俺達がより住みやすい惑星の環境を整えていくってことをするんだよね。
　残念ながら、俺達の力が強すぎるのか……取り憑かれた奴らってしばらくしたら死んじゃうんだけどさ。それはまあ、生き残るために必要な犠牲なんでゴメンナサイってことで。俺らだって必死なわけですしおすし。

　ただなあ、問題がなあ。
　言った通り、俺達ってめっちゃくちゃ食欲旺盛で、生殖能力も高いわけだよ。

　めっちゃ一人あたりは小さいんだけど、それでも食欲に負けて他の生き物を食い尽くしちゃうことが少なくなくてさあ。最初はとり憑いた生物からエネルギー貰って満足してるんだけど、次第にそれじゃ足らなくなって取り憑いた存在の肉とか内臓とか食べるようになっちゃうわけね。宿主が死ぬのはそういう理由。しかも、食べ尽くすくらいの段階になると、俺らの数も既に途方もなく増えてる。宿主が死んだらもう新しい生物を探さないといけないからわーって散るんだけど、増えた数だけ新しい取り憑き先が必要になってくるからまたまた被害者が増える寸法。
　そうやって、元の惑星の住人に寄生して寄生して……を繰り返して、次は失敗しないようにってみんなにも言い聞かせるんだけど。毎回のように失敗しちゃって、ご覧の有様ててなわけです。俺らが立ち寄った惑星は、数十年から数百年くらいでダメになっちゃうんだ。そこに元からいた生き物が、みんなおかしくなったり肉を食い尽くされたりして死んでいっちゃうもんんだから。
　ね、困った話でしょ？

　……うんうん、正解。そう、そのとおり！
　俺達って、いわゆる……そう、あんたらの言葉で、ウイルスって呼ばれる存在なんだよね！
　多くの生物の目に見えないほど小さいんだ。だから、とにかく何かに寄生しないと生きていけないんだよね。