最高の出会い

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最高の出会い

 分かっていてもやらかしてしまう失敗って、誰にでもあると思わないかい?  例えばさ、そこにいっつも躓くイスがあってさ。そこを通るたびに転ぶとわかってるんだから気を付けないとーって思ってるのに、ちょっと気をそらした途端にスッテンコロリンしてしまうとか。煙草やめないと身体に悪いよね、って思っているのに、ライターで火をつけてからその誓いを思い出す羽目になったりとかさ。  反省してないんだろ、ってよくみんなには責められるんだけど、そういうわけじゃないんだよ。悪かったとか、申し訳なかったとか、次からなんとかしなきゃなあって気持ちは俺にだってあるんだ。あるけどなかなかうまくいかない、困ったことに。反省しても生かされてなきゃ意味がないって言われたらもう、全くその通りなんだけど。  ああ、自己紹介が遅れてしまった。俺、いわゆるカミサマってやつです。  と言っても、なんていうか君たちが想像しそうな、全知全能の神様ってヤツじゃない。創造主っていうものではあるんだけど、俺にだって何でもできるってなわけじゃないんだ。あれだよ、チート性能なんてもんはない。ただ、自分が好きなようにそこの生物の進化を操ったり、新しい命を生み出したりとかそういうことができるってだけ。  それも、まっさらな状態から産みだすわけじゃない。そこまでの力は俺にはない。ある程度生命が栄えている惑星を渡り歩いて、そこの惑星に俺好みの進化とか繁栄とかを与えて動かすのが俺ってなわけね。……うん、説明が下手くそでごめん。なんつーか、そう言うと創造主っていうより、単によそから来て進化をイジってるだけの変人ってかんじはするかも。まあ、それでも一応カミサマなわけですよ。なんでって言われると困るんだけど、俺自身がそう自覚してるからカミサマって呼んでくれると助かるかな。だって名前とか他にはないし。  元々俺、ある惑星に住んでいたある種族の一人だったわけなのね。  俺達の種族って、特別強いとか特別頭いいとかじゃなかったんだけど、とにかく再生能力が高いことで有名だったんだよ。あとみんな、とっても大食漢。とにかくご飯食べるのが大好き。再生する分を、多分いっぱいのご飯で補ってたってやつなんだと思う。生殖能力も高い。分裂してどんどん増える。ご飯を食べるたびに子供が生まれる。だから、増えすぎないようにするためにはご飯を我慢するしかないってわけだねえ。  確かに、怪我をしないし子供を作らないなら、ご飯を食べなくてもそう簡単には死なないんだけど。でも俺達ってば、ご飯が人生最大の生き甲斐みたいなとこあったからさ、我慢しろと言われてもなかなかそういうわけにはいかないんだよね。それって、人生で唯一の楽しみをナシにしろって言われてるようなもんだし。他に趣味らしい趣味もそんなになかったしさあ。
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