忘れられない初恋

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「お前を忘れた事なんて、一度も無かった。」 苦しいと感じる程の腕の強さに、私は戸惑いを覚える。 どうして、あの時私を振ったはずの彼に抱き締められているの…? 就職を機に帰ってこいという両親と話をするために、夏休みに地元へ帰ってきただけだったのに。 まさか、振られた場所で、彼と再会するなんて。 「お前がこの町を離れて、俺の傍から居なくなって…漸く分かったんだ。小さい頃からずっと一緒だったから、当たり前すぎて気付けなかった。俺にとってお前が、大事な女だって。」 今更気付いても遅いよ。 そう言えたら、どんなにいいだろう。 彼の事を忘れたことなんて一度もない。 この町を離れてからも、ずっと。 初めての、恋だったから。 「お前は、もう俺の事なんて何とも思ってないかもしれないけど…もう一度、俺の事好きになってもらえるように、頑張るから。だから…」 「頑張る必要なんて、ないよ…」 だって、私はまだ… あの日と同じ季節、同じ時間にこの場所で、失恋で幕を閉じたと思った私の初恋は、新たな未来へと歩み始めた。
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