ねえ、先生。

5/6
前へ
/6ページ
次へ
「なんですか?」 「なにしてるの?」 聞けば、少し高めのかわいい声で彼はいつも決まってそう言う。 「飲んでるよ。」 「だれと?」 「さあ?」 「どうせ男だろ。」 そうかもね、なんて答えると、なんだよそれと笑う声が聞こえた。 「なにか用ですか?」 「会えないかなって、」 なんてどの口が言う。 「ふーん、そうなんだ。」 「ちょっと冷たくない?」 「冷たいのは先生だよ。」 「えぇそう?」 「いつもライン返してくれないじゃん。」 「あれそうだっけ?」 ほらそうやっていつも知らないフリ。 いつだって都合のいい。 「そうだよ。」 「ごめんて。で、会えるの?会えないの?」 「うーん、どうしようかなぁ、」 なんて、少し迷ってるフリ。 答えなんて決まっているけれど。 ねえ先生、わたしそんな安い女じゃないんだよ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加