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「からかってるんですか?」
「違うよ。俺はずっとカエちゃんを見てたんだよ。
タカシは人懐っこくてかわいいヤツだと思う。
でも、カエちゃんを苦しめてた。
だから、早く別れればいいと思ってた
俺、結構ずるいんだよ
あの橋でのこと見て、チャンスだと思った
腹黒でしょ? タピオカみたいな色してるよ、多分」
「ハハハッ、何ですかそれ?」
「俺、カエちゃんのこと泣かせたりしないよ
だから、俺にカエちゃんを甘やかさせてよ
いいでしょ?
カエちゃん今まで、我慢して、沢山傷ついてきたんだから
もっと誰かに甘えて、ふわふわしていいと思うよ
その相手が俺だったら
すごく……
うれしい……」
「ありがとう……ございます」
ハルトさんの手が髪を撫でる。
ドキドキする。
「タピオカより甘々にしてあげる。いいでしょ?」
そっと、唇が触れる。
ハルトさんの胸に顔を埋めると、涙が溢れた。
こんな近くに、こんな暖かな場所があったなんて。
ギュッと抱きしめられ、髪に降り注ぐ暖かな吐息と優しいキス。
「もう泣かないで。俺はカエちゃんの笑顔が好き」
「あたしなんかで良いんですか?」
「”なんか”じゃなくて、カエちゃんが良いの」
「あたし、カッコ悪いとこしか見せてないですよ……」
「だからだよ。あんなに一途な子他にいないよ」
「でも……」
「もう、黙って」
塞がれた唇は、甘くて優しいミルクティーのほっとする味がした。
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