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「ふざけないでよ! 勝手なことばっかり言って!」
あたしは怒りに任せて、タカシを強く突き飛ばした。
お店の近くの橋の上で待っていたタカシは、やめると約束していたパチンコでお給料を全部使ってしまった。約束は守れなかったけど、お前は俺のこと好きだろ? だから、お金を貸してくれと抱きしめようとした。
「ずるいよ……
いつもいつも、嘘ばっかり……
もう終わりにしましょう」
あたしは一歩後ずさった。
「タカシは、いつもいつも、あたしが待ってて許してくれるって思ってる。
そんな都合よくなんてならないよ!
あたしは、ずっとタカシは、いつか気がついてくれると思ってた……
でも、もう無理」
こみ上げてくる涙を唇を強く噛んで押さえつける。
「次はきっと……次はきっとって……思って我慢してきたけど……
あたし、本当バカみたい」
振り返って走り出した。
太陽が山の稜線に差し掛かり、ピンクや茜の雲が群青に塗りつぶされていく中、夏が終わりを告げる。
流星、落ちてこないかな。
この気持ち消してって、お願いしたいよ。
空の色が変わるみたいに、綺麗さっぱり塗り替えてよ。
七年だよ。
本当、バカみたいだ。
好きはそんなすぐには、消えないよ。
苦い苦い分量を間違えたエスプレッソみたい。
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