cup 1

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「ふざけないでよ! 勝手なことばっかり言って!」 あたしは怒りに任せて、タカシを強く突き飛ばした。 お店の近くの橋の上で待っていたタカシは、やめると約束していたパチンコでお給料を全部使ってしまった。約束は守れなかったけど、お前は俺のこと好きだろ? だから、お金を貸してくれと抱きしめようとした。 「ずるいよ…… いつもいつも、嘘ばっかり…… もう終わりにしましょう」 あたしは一歩後ずさった。 「タカシは、いつもいつも、あたしが待ってて許してくれるって思ってる。 そんな都合よくなんてならないよ! あたしは、ずっとタカシは、いつか気がついてくれると思ってた…… でも、もう無理」 こみ上げてくる涙を唇を強く噛んで押さえつける。 「次はきっと……次はきっとって……思って我慢してきたけど…… あたし、本当バカみたい」 振り返って走り出した。 太陽が山の稜線に差し掛かり、ピンクや茜の雲が群青に塗りつぶされていく中、夏が終わりを告げる。 流星(ながれぼし)、落ちてこないかな。 この気持ち消してって、お願いしたいよ。 空の色が変わるみたいに、綺麗さっぱり塗り替えてよ。 七年だよ。 本当、バカみたいだ。 好きはそんなすぐには、消えないよ。 苦い苦い分量を間違えたエスプレッソみたい。
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