葬りましょう

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「…なんか、知れば知るほど私が思ってた廣太郎と別人みたい…」 悲しいため息をつく香織に、洋子は 「そもそも、今までが廣太郎だったのかもね。」 その言葉に香織はゆっくりと顔を上げた。 「あいつ、見た目だけは本当にいいじゃん。そんで一応真面目かつ優秀でしょ。ドラマの中から出てきたような完璧イケメンのレッテル貼られて、廣太郎もそれを完璧に演じてたけど、良くも悪くもまっつんと付き合ってだんだんボロが出たんじゃないかな。 まっつんになら素の自分を出しても受け入れてもらえるんじゃないかって思ったんじゃない?」 まぁ所詮はあいつの素がクソだったってことだけど、と洋子が辛辣な言葉を吐き捨てる。 「…いいんだか悪いんだか…」 「今思えば廣太郎、まっつんに安心しきってる感あったもん、なんか。 単純に仲がいいだけだと思ってたけど」 …自分にだけ素を見せてくれているのは知っている。 それ自体は嬉しい。廣太郎のように、素を出すのが苦手な人の唯一の相手になれるのであれば尚更。 でも、 なんか、 なんていうか。 「…素を出してるっていうか、舐められてない?」 要は、こんな失礼なことをしてもいい相手だと思われていたということだ。 私なら、二股しても許してくれるだろうと。 拗れた後、どれだけ連絡がなくても許してくれるだろうと。 私なら、文句も言わずに。 …さすがに違くないか?それは。 「…なんかすごい腹立ってきた」
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