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ある昼休み。
香織は全てを洋子に打ち明ける為、外のカフェに呼び出した。
「まっつんから『相談がある』なんて!珍しーい!どうしたの!?」
そう言いながら子犬のように目をキラキラとさせている洋子に若干申し訳なくなる。
「あ、いやえっと…そんな楽しい話じゃないんだけど」
「いいよいいよ、なんでもカモン♪」
そう明るく話していたのも束の間、香織の話が進むにつれて洋子から段々と目から光が失われ、上がっていた口角もどんどんと下がっていった。
そして、廣太郎が二股をかけていた事実を告げると
「…………は?」
洋子はとんでもなく低い声をだし、
そして俯きがちに両手を額に当てて深ーーーいため息をついた。
「……今時珍しい生真面目イケメンかと思ったらよくも騙してくれたなあのクソ野郎。」
「…今から海に沈めるか。ここで始末しておいた方が世の中のためじゃないむしろ。確か営業車一台余ってんでしょ。」
そう言ってすっと席を立った洋子を慌てて止める。
「ちょちょちょ、待って、洋子」
「何?」
びっくりするほどそっけない返事をした洋子の目は本気だった。
…やりかねない。洋子は本気で廣太郎を海に沈めかねない。
「う、海まで結構距離あるから大変だと思うし。とりあえず落ち着いて?ね??」
止めるべき理由が若干ずれているが、洋子は一応香織のいうことを聞いて、一切目の色を変えずに再び席に着いた。
洋子はガチギレすると静かに怒るタイプ(しかも一番怖い)だというのを今回で知った。
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