この軀から、溢れんばかりの愛を。

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「——愛菜?」 海沿いの歩道、港から150メートル程離れた先のバス停の正面で名前を呼ばれた。キャリーケースとボストンバックを携えて、片手にはスマートフォンを耳に当てて、多分私に電話を掛けているのだろう。 二年前より少し髪が長い。最後の仕事が終わって島に直行してくれたのだろう。目を大きく見開いてるのは、私が明らかに手ぶらの着の身着のままの状態で迎えに来るとは思ってなかったからだ。 「あ……」 声が掠れて最初の一言すら出なかった。酸素が足りない金魚のように口をパクパクさせている私を、崇仁は荷物を放り出して抱きすくめる。
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