この軀から、溢れんばかりの愛を。

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数日後、崇仁から宅配便が届いた。本島の銘菓や雑貨がミカン箱に敷き詰められている。 「字が下手だなぁ」 ダンボールの底に入っていた白いコピー用紙に「帰れなくてごめん。もう買っていたお土産が無駄になるのもあれなのでお義父さんやお義母さんと食べてください」と書いてあった。乾物がほとんどだったが、あと一週間で期限が切れる洋菓子なんかもある。 「よく見て買えばいいのに……」 苦笑しながらお土産を出していると、ひとつだけ手のひらサイズの立方体の箱が入っていた。包装紙を開けると、ビロードが貼られた小箱が現れる。 「……かわいい」 貝の形のトップが付いた金色の指輪だった。薬指に嵌めようと思ったら、あまりにも小さ過ぎてピンキーリングだと気付く。左手に嵌るそれを光にかざすと、少しだけ笑みがこぼれた。
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