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縦と横
クモの巣の下で生きる僕ら
裏道だって知ってるし
けっこう自由に動いてる
前にのびる縦の道
自転車で下るとカゴにつけた風車が回る
気分はまるで草原を駆ける勇者
高速回転の風車が話しかけてきた
「いつまで走るの?」
前には無限の可能性しかないんだ
「可能性を拾いつくすまで」
「それじゃいつまでたっても肯定できないよ」
「おまえだって怖いから回ってるんだろ」
若者にとってはむしろ幻想の方がリアルに近い
「止まって!」
急ブレーキをかけたらやがて風車も止まった
ここは川沿いの道
ひとつの神をたてあらゆる可能性を排除して発展した文明は勝者か敗者か
遠くに見える人工の橋の上
キラキラ光る車が行き来している
まるで川をはさんでキャッチボールしてるみたい
楽しそうだね
ようこそ文明
神は死んだし
主人公のふりして生きてみたってバチは当たらないんじゃない?
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