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「ねえ、ヒロちゃん。私とヒロちゃんは、どんな顔になったのかなあ」
「透子はお母さんの顔を覚えているだろう。お母さんにだんだん似てきたよ。僕は、ほら、幼稚園の頃によく観てた変身ヒーローの主人公、あれだよ、覚えているだろう? あんな感じだよ」
「嫌だ。ヒロちゃんのお父さんもお母さんも、あんな濃い顔じゃなかったよ」
透子はこぼれんばかりの笑みを浮かべ、僕の返事を突き返す。
僕の幼なじみの透子は、両目が見えない子だった。小さい頃に病気でそうなってしまったのだ。
お互いの親が言うには、僕と透子は赤ちゃんの頃からとても仲が良かったそうだから、透子の目が不自由になっても僕と透子のお互いへの気持ちに変化はなかった。
僕ら仲良しの関係は高校生になっても続いている。
「僕ねえ。どんな顔になったかな」
「絵にしてみてよ」
「ん? そうか?」
目が見えないだろ?とは言えなかった。だから、透子の望み通りにしてやるのが僕らのパターンだった。
「描けたよ。まあ、似ている……とは思うけど」
「ふうん。どれどれ……」
鉛筆で描いた僕の絵を透子は指先でなぞった。
「へえ。ヒロちゃんは、こんな顔になったんだね」
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