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その後、言葉が分からない私の前では、何を話しても良い。と思っているのか、次々と討伐メンバーは話していく。
「ああ、早くあんな禁忌の勇者と離れたい」
「だが、国王陛下の命令だ」
「解っているさ」
「しかし、あの勇者は他国には行かせられないな」
「ああ。国王陛下が、禁忌の勇者でも力は間違いない、と言っていたからな。確かに強い。他国に知られたら、勇者を奪いに来るに違いない」
「きっと、魔族討伐が終わった土地から国境封鎖を始めているだろう」
「そうだな。禁忌の勇者だが、その力は間違いないからな」
「まぁ魔人ならば、力が強くて当然だろうが」
「いつ我々を殺そうとするか、分かったものじゃないな」
その言葉を聞いて、カッとなりかけた。なっちゃんは人殺しなんか、しない。と叫びたかった。だけど、情報収集はしなくちゃいけない。
「全くだ。殺される前に我等は逃げよう」
「そうだな」
それきり2人は他の話を始めたから、後は何も情報を得られなかった。でも、分かった事がある。なっちゃんは、この国の人間に嫌われている、と。もしかしたら魔族の討伐が終わったら、殺されてしまうかもしれない。
そう思えば、魔族の討伐を行なっている間は、生きていられる保証があった。後は、なっちゃんを説得して、どうやってこの国を脱出するか、ということを考えなければ。
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