宝、24歳の秋

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「連絡はちゃんと入れただろ。  急に向こうでスポンサーがついたから、友達の家に一緒に住むって」  碧はそう言いながら、私の肩を自分に引き寄せる。  でも、私はそんな碧を頑なに拒んだ。 「でも、その後にも、日本に帰って来てたってぐっさんから聞いた。  何で、家に寄ってくれなかったの…?  碧の家なのに… 碧の実家なのに…」  私は本当に自分自身が嫌になった。  姉として振る舞えない自分自身が情けなくて恥ずかしくて、ため息しか出てこない。 「でも、ほら、今日ちゃんと帰ってきた…  顔見せに家にも寄った…  だから、許して」  碧は嫌がる私の肩をもう一度引き寄せる。  弱虫な私は、そんな碧の胸に吸い込まれるように抱き寄せられた。  もう夜の十時近くなのに、碧は家には向かわずに近くの川沿いを歩き始める。  橋の真ん中に差し掛かった時、碧は立ち止まり私を見る。 「今回は宝に話しがあって、ここに立ち寄った。  いや、宝というより父さんや美代子さんにもなんだけど…  父さん達にはもう話はした、一応、納得してくれたよ」
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