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「連絡はちゃんと入れただろ。
急に向こうでスポンサーがついたから、友達の家に一緒に住むって」
碧はそう言いながら、私の肩を自分に引き寄せる。
でも、私はそんな碧を頑なに拒んだ。
「でも、その後にも、日本に帰って来てたってぐっさんから聞いた。
何で、家に寄ってくれなかったの…?
碧の家なのに… 碧の実家なのに…」
私は本当に自分自身が嫌になった。
姉として振る舞えない自分自身が情けなくて恥ずかしくて、ため息しか出てこない。
「でも、ほら、今日ちゃんと帰ってきた…
顔見せに家にも寄った…
だから、許して」
碧は嫌がる私の肩をもう一度引き寄せる。
弱虫な私は、そんな碧の胸に吸い込まれるように抱き寄せられた。
もう夜の十時近くなのに、碧は家には向かわずに近くの川沿いを歩き始める。
橋の真ん中に差し掛かった時、碧は立ち止まり私を見る。
「今回は宝に話しがあって、ここに立ち寄った。
いや、宝というより父さんや美代子さんにもなんだけど…
父さん達にはもう話はした、一応、納得してくれたよ」
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