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碧、16歳の夏
碧、16歳の夏…
高校一年の夏、俺は初めて彼女を作った。
同じ高校で同じクラスで、趣味でサーフィンをしている女の子だった。
趣味でっていうところがポイントで、マジにサーフィンやってる女の子にはあまり興味はなかったから。
といっても、すごい真剣な顔で告白された俺は、何だか断るのが悪くていいよって言ってしまったのが始まり。
宝にも彼氏がいたし、それが俺にとってはすごく苦痛で、だから俺も彼女を作った。
前に宝に聞いた事がある。「何でそんなしょっちゅう、彼氏を作るんだ?」って。
そしたら、「つき合ってって言われて、断る理由がないから」って。
だから、俺も付き合う事にした。
宝への見せつけって言われればそうかもしれないけど、見せつけられる方の気持ちも考えてもらいたかったから。
「お邪魔しま~~す」
俺は自分のサーフィンが忙しくて、あまり彼女とデートができなかった。
だから、時間が空いたら、彼女を家に呼んだ。
俺の部屋だったりリビングだったり、彼女と他愛もない話をするのが楽しかった。
でも、たまに、そこに宝が居る時がある。
そんな時の宝は、決まって機嫌が悪かった。
「碧のお姉さんって、本当に綺麗だよね。
儚げっていうか、透明感があるっていうか、とにかく男の人は俺が守ってやるみたいなそんな気分になっちゃうんだろうね」
俺が何も答えずにいると、彼女は何の気なしにこう聞いてきた。
「でも、碧とお姉さんって全然似てないよね?」
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