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終業を告げるチャイムが鳴り終え、生徒はわらわらと寮に帰っていく。
波に逆らって、3人は職員室に訪れていた。
「坂口、椎名、日向。おめでとさん。君達の実習先はWGだ」
担任の池永裕二が片方の口角を上げて、いやらしく笑う。この男の考えている事は分かりやすい。
自分の受け持つクラスから、3人もWGに実習が決まるなんて、これまでにない快挙だ。
当然、教員間でも一目置かれる存在となっていた。
そんな池永の笑みは さておき、椎名澪梨、日向彰の2人は、信じられないといった風に目を見開いた。
「……まあ、坂口は当然といえば当然だな。お前は2人とは別で、通常任務に従事せよとのことだ」
「はい、総帥から聞いています」
坂口慎也は軽く笑った。
総帥の孫であり、WGで既に千里という名を持つ彼は、幼少期から並々ならぬ訓練を続けてきた。
もちろん総帥の孫という事実は公にしていないため、慎也が“総帥”と敬称を付けずに呼ぶことは、周囲から否定的な声もある。
しかし慎也は改めるつもりはないようだ。
「椎名、日向はそのプリントに書かれてある通りだ。担当は――八代さんと言ったかな。しっかり勉強して来いよ」
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