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「アトリエの横にもう一つスペースがあって、木のカウンターがあるだけの、ちっこいスペースなんだけど……」
「……うん」
「そこで……ちょっとしたカフェも……出来たらいいなって……」
理央が伏せた目を上げ、私と目を合わせると、もう一度目を伏せた。
「うん、何?」
「そこで……郁が、コーヒー入れて……ホットケーキ焼いて……」
理央は話を聞かない。これは、私がいつか言った。誰も知り合いがいない寂しさから言った。
『理央の横でカフェでも開きたい』
そんな言葉を真に受けたの?
「トムとジェリーのホットケーキを焼いて過ごしてくれたらなって」
理央は、本当に話を聞かない。それが証明された。思わず吹き出した。
「本当に、聞いてないわね」
だけど……それが……嬉しかった。
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