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季節の狭間。
暑くも、寒くもない風が髪を踊らせ、頬をくすぐる。
“区切り”季節もちょうど、そんな……タイミング。もう少しでそう呼べなくなる……“私達の家”。その近くで鈍りそうな決心に足を止める。
どれだけ道のりが離れていても、あの頃は……その距離を縮める努力をした。私も……理央も。
今は……こんなに近くにいるのに、遠い。心の距離。初めてここに来た日は……ここも、希望の景色だった。
理央がいる場所。それだけで特別に見えた。今は……もう……。この景色を見てもため息しか出ない。ああ、そんな事もないか。涙も出そう。
帰ろう。重い足を、マンションへと向けた。
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