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下を向いて歩いていると、理央のお気に入りのスニーカー……凄く大事に履いてた。それが、乱雑に踵部分が踏み潰されてるのが目に入って、顔を上げた。
……理央?
髪もくしゃくしゃで……顔もくしゃくしゃで……確認出来たのはそこまで。
そこからは激しく上下する理央の胸の中で視界は消えた。息も絶え絶えなのは、私も……。
「ちょっと、苦しいよ、理央!」
「ベランダから、郁美が、見え……で、エレベ……」
全く何言ってるか分からない。理央のこの行動が何なのかも。
「郁の……ホット……ケーキ……」
「理央?」
「郁美が、どっか行くから」
見たことないくらいの理央の顔に
「出かけるって言ったでしょ?」
いつもの様に、話を聞いて無かったのだと悟った。
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