プロローグ

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 青いバラは、日本のサントリーフラワーズとオーストラリアの植物工学企業との共同研究開発により、世界で初めて完成した青色の色素を持ったバラである。  私はこの花を初めて見た時、あまりの綺麗さに心打たれた。その鮮やかな青さに不思議な魅力を感じたのだ。  私の人生はずっと諦めてばかりの人生だった。頑張ることもしないで、言い訳ばかりして現実から逃げていたんだ。  だって頑張ることは大変だから。失敗することは怖いから。変わることは不安だから。だから私は逃げてきた。  頑張ることを諦めた代償は大きくて、私はいつも夢を見ては遠い現実に虚しさを感じていた。叶えたい夢があった。しかしそれは叶うことなく忘れかけたように宙に浮いたまま彷徨っていた。  それを叶えようと思ったのは、この青い薔薇に出会ったからかもしれない。不可能を可能にする花。  夢は叶う。そんな花言葉に背中を押されて動き出した私の人生は想像とは違うものになった。しかしそれはすべて偶然という名の必然なんだと私は思う。
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