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そう、分からないんだ。オシャレも雑誌をいくら読んでも何を買えばいいのか、何が自分に似合うのか。メイクもそう。何から始めればいいのか分からない。でもそんなことこの歳で誰かに聞くことも出来ない。
「ただいま……。」
「うわ、お姉ちゃん何その格好。今日結婚式でもあったわけ?」
「……金曜日の夜にあるわけないでしょ」
玄関で靴を脱いでいると、リビングから出てきた妹に掴まった。慣れないヒールで少し痛くなったかかとを擦っていると、妹の杏は近づき聞いてきた。
「まさかデートじゃないよね?」
「違うわよ」
「だよねー。お姉ちゃん絶対彼氏出来ないだろうし、その服装もありえないから」
「……そんなにおかしい?」
笑う杏に小さく呟く。
「私絶対お姉ちゃんみたいになりたくないわー。早く結婚しよう」
そう言うと二階へ繋がる階段を登って行った。
「……私だって好きでこんなんじゃない……。」
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