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レオは、男をリビングに招き入れ、覚えたてのやり方でお茶を作りました。
「やぁこんばんは、僕はレオ。君は何て名前?」
挨拶がまだだったと思ったレオは、男にお茶を出して言いました。男はお茶を一口飲むと、応えました。
「ケムだ。お前、一人で住んでるのか?」
「うん。あとねケム、君が最初のお客さんなんだ」
「最初の客?」
男、ケムは不思議そうにレオを見ました。
「だって僕、緑色の目してるから」
『モクモク村』では、緑色の目は不吉なものだと、村人達から嫌われておりました。
その目を持つレオも、です。
だから、レオの家に来るお客さんは、今まで一人もいませんでした。
「そうか」
ケムは、何も言わずにお茶を飲みました。
レオは、ケムの大きな荷物を見て言いました。
「ねぇ、ケム。僕も旅に連れてって」
ケムは困ったようにため息をつきました。そして低い声で言いました。
「……明日の朝、ここを出る。準備しとけ」
「うん。ありがとう、ケム」
ケムの寝る部屋を案内したレオがそこを出ようとすると、椅子に座ったままケムが言いました。
「あと、俺はケムじゃねぇ」
「じゃあ、何て名前?」
「オンニだ」
「分かった。おやすみ、オンニ。置いてかないでね」
レオはそう行って自分の部屋に入ると、大きなカバンに荷物を入れて、ベッドに入りました。
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