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次の日の朝。オンニはレオを待っててくれました。レオは大きなカバンを持って、オンニと一緒に『モクモク村』を出ました。
それからそれから、レオとオンニは、いろんな所に行きました。いろんな物を見て、いろんな話を聞いて、いろんな事を知りました。オンニとはたまに喧嘩もしましたが、仲良くずっと一緒におりました。
そんなある日、綺麗な村の見える丘の上で、オンニはレオに言いました。
「なぁレオ。地球ってのは丸いって知ってるだろ?」
「うん」
「世界は繋がってるんだ。あそこに見えるのが、俺のいた『キラキラ村』だ。あの村を超えて暫く歩いたら、お前のいた『モクモク村』に着くだろうな」
「思ってたより、広くなかったな」
「まぁそう言うな。俺は『キラキラ村』に入ったら、もっと遠くに行く。お前はついて来るなよ」
「何でそんないじわる言うんだよ。『キラキラ村』も一緒に行くよ」
レオがそう言うと、オンニは困ったように笑って言いました。
「しょうがねぇな。じゃあ、来い」
丘を超えて村に入ると、男達が数人こちらに来て、銃を構えました。オンニがレオを背中に隠したので、レオは見えませんでしたが。ガウン、ガウンと、何回か銃の音が聞こえました。すると、ゆっくりとオンニが倒れました。
「オンニ、何で……」
「オンニ、こいつは人殺しだ。危ないからお前も離れなさい」
と、男達はレオに近付きました。レオはオンニに抱きつき、オンニの黒いコートをぎゅっと握りしめました。
「だから、人違いだっての……殺したのは、ケムだって……」
「また嘘を言いやがったな」
男達は再びオンニに銃を向けました。
「やめてよ。違うって言ってるのに」
レオが叫ぶと、オンニがレオの頭を撫でて言いました。
「仕方ねぇさ。ありがとうな、レオ。楽しかった……」
「嫌だ。いなくならないでよ、オンニ」
オンニは、そっと笑うと目を閉じました。
男達はオンニが動かないのを見ると、その場を離れました。
「オンニ、置いてかないでよ。あんまり遠くに行かないでよ。また僕一人ぼっちだよ」
何度呼びかけても、オンニは眠ったままでした。
ふと、レオの後ろに男達の置いて行った拳銃がありました。
「オンニ、また一緒に旅しょう。きっと、楽しいよ。だから、待っててね。置いてかないでね」
とオンニに伝えると、レオは銃を自身の心臓に向けました。ガウン。と一度銃の音がして、レオはオンニに抱きつくように倒れ、そっと笑って目を閉じました。
「待ってよ」
オンニの大きな背中が見え、レオは叫びました。オンニは振り向き、レオを見て驚くと、歩みを止めてくれました。
「来るなって言ったろ」
「一緒に旅しょうって言ったじゃないか」
と、レオは自慢げに大きなカバンをオンニに見せました。オンニはため息をつくと、言いました。
「しょうがねぇな……行くぞ」
「うん」
レオはオンニに続いて、綺麗な星の中を歩いて行きました。
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