第一章

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モニカとサミュエルが次に目にした光景は信じられないものだった。 光がなくなって二人が目の前を見れば、そこには一人の男性の姿があったのだ。牛の姿はなかった。 その男性は一見、農場の人間に見えるが日本人の成人男性にしては見た目が幼い。中学3年生か高校1年生くらいに見える。 「え…あなたは…。」 サミュエルが目の前の男性に問う。彼は日本語ができるので、勿論その男性に対して日本語で話しかけた。 「ぼく? ぼくはさっきまできみと話していたあの牛だよ?」 「え!?」 サミュエルは目の前の男性の言っていることを信じられなかった。だが、確かに男性の声は先ほどテレパシーで感じた牛の声そのものだった。 そんな会話をしている二人に、モニカが割り込む。 「あの、サミュエル。動物と会話してたってどういうこと? サミュエルには動物が何を考えているかがわかるの?」 「あ、はい。生まれつきそういう能力を持ってまして…。」 「…君、多才だね!」 初めてモニカに自分の能力について話したサミュエルに、彼女は驚きを隠せない様子だった。
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