第二章

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「てか、信じられないんだけど…牛が人間に? そんなアニメみたいな話…。」 モニカは不審なものを見るような目で”人間に化けた牛”を名乗る少年を見て言った。彼女はサミュエルとは違って日本語が話せないので彼女の言葉は勿論通じない。(モニカが話しているのはポーランド語だから。) 「というか、そもそもあなた、名前は?」 サミュエルが牛の少年に流暢な日本語で尋ねる。 「そうだね…僕には名前はつけられなかったから自分の名前は自分でつけちゃった。僕の名前は”あずき”。牧場の管理人の人たちが何かのアイスを食べてて、そのアイスがあずき味のアイスだったの。すごくおいしそうで気に入ったから自分の名前にしたんだ。」 「そうなんだ。」 楽しそうに自分の名前の由来を話すあずきに、サミュエルはまるで妹や弟の面倒を見る兄のような優しい顔を見せていた。
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