第二章

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あずきと別れた後、モニカとサミュエルは模範牧場の外側を歩くことにした。 外側の道路からでも、牧場の中の様子がよく見える。 頭数は少ないものの、牛たちの姿も見える。そして、高原独特のマイナスイオンの空気が美味しい。 モニカは模範牧場の様子をメモ帳にペンを走らせてメモを取りながらサミュエルと歩いていた。 「先輩。」 サミュエルがモニカに声をかける。 「何?」 モニカは返事をする。 「ここの牧場の人に挨拶しに行く話に戻るのですが、さっきからここ、人を見かけないですよね…。」 「確かに…。」 二人は不安な表情になりながら模範牧場の外側を歩き続ける。 サミュエルが牧場の関係者を探そうとしている理由は「挨拶なしでは失礼だから。」という理由以外にもほかにもわけがあったのだ。 実は、モニカとサミュエルはこの模範牧場の周辺にたどり着くまでは高原内で道に迷っていた。そこで、たまたま見つけたキャンプ場に行き、そこの管理人に模範牧場までの道を聞いたところ、管理人は道を教えてくれた。その時、その管理人が「牧場の人には一度挨拶してください。あと、あそこは観光地ではないので基本的には入れないところだと思って下さい。」と言われたのだ。それも理由の一つだった。
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