3秒で言えた言葉が今も〈短編〉

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孝宏とは仕事関係で知り合って、3ヶ月前に付き合い始めた。 私のどこがそんなに良かったのかは分からないけれど、半ば強引に押し切られる形で付き合いが始まった。 大智と別れてなかなか前に進めなかったから、強引なくらいでちょうど良かったのかもしれない。 彼は都内の中学校で英語の教師をしていて、バスケ部の顧問もしている。 部活で土日のどちらかは潰れるし、持ち帰り仕事もしているからゆっくりデートも出来ていなかったけど、生徒が夏休み中は比較的時間が取れるようだった。 旅行に誘ってくれたのは夏らしいデートを全くできていない彼なりの配慮だろう。 「紗英きっと感動して泣くと思う」 「うーん…じゃあ行こうかな」 「よっしゃ!じゃあチケットとか取っておくな」 その花火大会は毎年8月の初めにお祭りが始まり、翌日に花火大会がある。 多くの市民が亡くなった空襲からの復興を願って空襲の翌年から始まったのだと孝宏が教えてくれた。
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