3秒で言えた言葉が今も〈短編〉

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午前中に部活の指導を終えた彼と合流して新幹線に乗った。 2時間もかからず到着して、駅前のホテルにチェックインする。 余裕を持ってホテルを出たはずなのに、混雑していて花火会場に着いたのは開始時間ギリギリだった。 ドーン… パラパラパラ… 夜空に花が咲いたかのように開いて、はらはら散る。 今年初の花火大会に一発目から感動して目が潤む。 見入っていると時間が過ぎるのがあっという間だった。 「今から始まるフェニックスって復興祈願花火のBGMがすごく良くてさ。きっと感動する」 「ごめん、ちょっとお手洗い行ってくる」 「えっ、ちょっと紗英!もう少し我慢できないのかよ」 プログラムが中盤に差し掛かる頃、有料閲覧席のイスから立ち上がって仮設トイレへ向かった。 暑くて水分を摂り過ぎたせいか尿意を催してから既に何十分か我慢していて、このままじゃ膀胱炎になってしまう。 この後もそわそわしながら見るよりはもう行ってしまおうと思った。 幸いすぐ近くに仮設トイレが何台もあって、並んでいるけど回転も早そうだ。 こんなに近いならもっと早く並べば良かったと後悔する。
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