第3話

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「……ご、ごめん。本当に、ご、ご、ごご、ご迷惑を……っ」 「?いや、別に……レオさん、表情が変わらないから、実は酔ってたとかあんまりわかんなくて。俺の方こそ調子に乗って付き合わせちゃってごめんなさい」  当然といえば当然なのだが、あまりに恐縮しきりの怜音に、雅久も「本当に大丈夫ですから!」と何度も言いなおす。そして、地の底までも凹みそうな怜音のために話題でも変えようと思ったのか、そうだそうだ!と笑いかけた。 「レオさん、アレは流石に覚えてますよね?」 「あ、あ、アレ?」 「えっ……忘れた?……嘘……」 「な、なに?俺、何した?あ……なんかガチャ回した記憶ある……ドブ何連発……」 「いや、確かにドブってましたけど、課金は俺が止めましたって。いや、そうじゃなくて」  えー……と雅久が寂しそうな顔をする。何を忘れている?何をした?と怯えている怜音に、半ば呆れながら、雅久が拗ねるように唇を突き出していた。 「俺と今度またゲームしてくれるって言ったじゃないですかー!新ステージ、オンラインじゃなくて、怜音さんの家で一緒にーって!」 「!?嘘、言ってない!」 「言ったもんー!俺にオフできたら、レオさんのお家に泊めてくれるって!」 「いや、無理無理無理無理無理っ!!」  言ったもんーの顔が可愛すぎて意識が飛びかけたが、怜音は必死で首を振る。ただでさえ、昨日のオフ会からの失態続きで、もう本当にライフゼロどころかマイナスリセットで三回は死んでいるのだけれど、本当に本気で昨日の自分を●したい。(自主規制)  無理、無理だからぁ!と言う怜音に、雅久は、昨日約束したじゃないっすか!と迫り、ダブルベッドのヘッドボード側まで追い詰めた。 「いや、まじで無理だから!俺、ほんと、人と関わるの苦手っ……」 「めちゃくちゃ期待したのに、なんでそんなこと言うんですか?俺、お仕事がんばろーって!絶対オフ作ってレオさんと遊ぶんだーって思えたのに、ひどいー!」 「そ、そんなの知らな……っ」 「あ、そうだ」  へへ、といたずらっ子のように笑った雅久の手が怜音の両手首を抑える。え?と思った時には抵抗のすべはなく、そのままもう片方の手が……怜音のバスローブをペロンとめくった。 「昨日、一緒にお風呂まではいった仲なのにー。俺、レオさんの下の毛がめちゃくちゃ薄いのだって知ってるんすよ?」  男同士の下ネタで和まそうとでも思ったのか、雅久は笑っていったのだが……その目の前で怜音は真っ赤になっていく。自分の密かなコンプレックスを自分が好意を持っている男に指摘されて恥ずかしくないわけがない。胸元から首まで真っ赤にした怜音は必死で雅久の手を振りほどいて、慌ててそこを隠した。 「あ……ごめ……んなさ……」 「っ……うる、さっ………」 「れ、レオさん、ごめ……からかうつもりじゃ」 「いいから、見るなっ!」  きっと涙目で睨みつけると、その場で雅久は固まった。その喉元がゴクリと動く。なに、と怜音が思った瞬間、ピリリリリリリとスマホの着信音が部屋に響いた。
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