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02 病室
一定のリズムを刻む電子音、消毒の臭い、腕に刺さった針に透明な液体を滴下し続けるビニールバッグ。
白衣の人たちがばたばたと出たり入ったりしながら、
「容態安定しています」
「頚椎も特に損傷は見られませんでした」
「聞こえますか!?久山さん、久山美玲さん!?」
騒がしく呼び起こす声で、私は目を覚ました。
「ご気分はいかがですか、どこか痛みませんか」
「……あぁ……はい……えぇと……少し……頭が……痛い……です……」
病院……か……。
ぼんやりながらも状況を把握し天井を見詰めていると、
「ちょっと!まだ早いです!
外でお待ち願えますか!」
「すぐ済みます」
「申し訳ありません、取り調べとかそういうのではなく、ちょっとお伝えするだけですので……」
医者の制止を振り切って二人の黒スーツの男が私に早足で向かってきて枕元に立つと、
「県警の岩田と申します。
久山美玲さん、あなたと共にこの病院へ搬送されてきた根谷戸瀬周ですが……」
「あぁ……はい……そう……イタル……イタルは……」
岩田と名乗った男を見上げようと首を回すと痛みが走り、思わず両手を首に当てがう。
「……あなたの首を絞めて殺そうとした根谷戸瀬周は、先ほど死亡が確認されました」
「ちょっと……目覚めたばかりの患者に……!」
医者が再び間に入ってくるが、
「まだ同じ階の別の病室にいますが、どうしますか、お会いになりますか」
もうひとりの男がその肩越しに言った。
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