哀しい現実

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そして、「政略結婚」でもなかった。 将吾さまのカフェ・オ・レ色の瞳が、怖いくらいまっすぐに彼女を射抜いていた。 それでいて、微笑んだ口もとからは、お砂糖のような甘さも感じられた。 あたしを見つめる、ただただ優しいだけの彼の瞳とは明らかに違った。 彼女を見つめるそこには、狙った獲物を決して逃さない獰猛なまでの「男」が潜んでいた。 あたしは気づいた。 将吾さまが…… 心の底から彼女を……愛していることを。
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