わかばの恋

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はあ……っと、深いため息が聞こえてきた。 「大学どころか、学部まで将吾さんに合わせたさ。まぁ……うちの親はおれがうちの会社に入るもんだと思い込んで喜んでやがるけどな」 将吾さまは兄と同じく彼のお祖父(じい)さんのお店(バー)の常連だから、翔くんとも面識があった。 言われてみると、確かに翔くんは将吾さまが卒業したKO大学の経済学部に在籍し、ビジネスの勉強をしていた。 かなりハードなところだと聞いているので、数々のバイトを掛け持ちしている身での両立はたいへんだと思う。 「だけど……将吾さまは翔くんが染めてたような金髪じゃなかったよ?」 そう、将吾さまはやわらかなカフェ・オ・レ色の髪色だった。 残念ながら、入社の際にチャラチャラしているように見られるのは心外だと言って、今はダークブラウンに染めちゃってるけど。 「ふん、ああいう天然の色を真似るのは、すんげぇ難しいんだよっ」
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