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私が歩くのを止める日
ドオォォン!!
交通事故に気をとられたのか、反対車線の車がビルに突っ込んだ。
さらに上がる悲鳴と怒声。
気がつくとあちらこちらで、人々がもみ合いになり、火があがっている。
動画を撮りにいった少年が、向こう側から来たスーツの男性に掴みかかられ引き倒された。
私は怖くなりその場から離れようと後ずさる。
振り返るとすぐ後ろに、血まみれで焦点の合っていないおばさんが立っていた。
私は悲鳴すら上げられず、あまりの恐怖で息をのんだ。
その瞬間、私は押し倒され手に握っていたスマホが地面に叩きつけられた。
胸元が、まるで火がついたように熱くなり、そこからは眠りに落ちる寸前のように、視界がぼんやりと暗くなっていった。
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