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ボンっと音がした訳では無いが左胸から血がドバっと溢れた。ベージュの病院指定のパジャマが直ぐに真っ赤に染まる。私は眉間に皺を寄せながら洗面所からベッドに移動して枕元のスイッチを押した。インターホンから看護師さんの声がした。
「内藤さん、なにかありましたか?」
「血が出て来たんです」
「血?ですか」
「はい。胸が爆発しました」
「え、えええ?今、直ぐに行きますね」
駆けつけて来た看護師さんはアッと声をあげた。
「大丈夫ですか?痛みとかあります?」
「いえ、何なのでしょうね」
まるで他人事だが、こういうことは良くあることなんじゃないかと軽く思った。血は止めどなく溢れて足元に血だまりが出来る。
ポタ、ポタ、ポタ、ポタ。
血が床に落ちる音が聞こえたきた。
「これって救急だあ」
看護師が急いでナースステーションに行った。
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