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その日の夜、初めてみなみと肌を合わせたときのことは忘れようと思っても忘れられるものではない。
心地の良いベッドに横たわる白く綺麗な背中は、今までに見たどんなものよりも、俺を酔わせた。
そして、みなみにとって俺が初めての男だったことに、言葉にできない喜びと、征服感を感じながら俺はみなみを抱いた――我を失うほど、溺れたと言ってもいい。
みなみの声に、その身体に、狂いそうなほど――俺は今はまでに感じたことのない高揚感というものを初めて知った。
己の全てを吐き出して、海に溺れるように眠りに落ちた俺は、久しぶりに幸福な夢を見た。
幸せな夢を見たのは、たぶん中学生以来だ。
翌朝、外が白んで寝室の大きな窓から白い光が差し込んでくる。眩しさに耐えられず、俺は一人、目を覚ました。
疲れ果てて横たわるみなみを抱きしめながら迎える朝は、最高に清々しく、楽園で目覚めたかのようだった。
心にぽっかりと空いてしまった穴が綺麗に埋められるような、そんな安心感を覚えたのだ。
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