2人が本棚に入れています
本棚に追加
橋の上
水無川の橋までは、一駅電車に乗って15分くらい歩く。
彼のアルバイト先のパティスリーに近いと言えば近いけど…
パティスリーのある高級住宅街からだと、歩いて5分ちょっと?
あたしは高鳴る胸の鼓動を持て余しつつ、駅から橋までの道を急ぐ。
あ、もしかしてアルバイトから社員に昇格したのかな??
何かの条件をクリアすればとかなんとか、前に言ってたような。
それを伝えたいのかしら。
そしてその上での、プロポーズ…
きゃあ、なんてロマンチックなのっ!
あたしったらホント、幸せ者っっ
息を切らして橋の上に着いた頃には、辺りは薄暮だった。
静かに流れる水無川のせせらぎと、わずかに頬をなぶる夕風が心地よい。
彼はまだ来ていないようだ。
あたしはバッグからミラーを取り出し、メイクや髪をチェックする。
一世一代の告白を受ける瞬間、あたしも綺麗でいなくっちゃね!
最初のコメントを投稿しよう!