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そして今、大きな家の前に立ってぼーっと見ている。
「おーい葉月。そんな見てると首痛めんぞ。あと入るぞ。」
僕は「あっ、ごめんなさい」と言って玄関へ入った。
入るときはもちろんお邪魔しますと言って。
「なぁ、ここは葉月の家でもあるんだ。"お邪魔します"じゃなくて"ただいま"な。」
「の、野田さんごめんなさい」
僕は急いで謝った。
「あと敬語もなしな。それと、俺の事は野田さんじゃなくて稔な。んで、"ただいま"はどうした?」
ええっ、いきなり呼び捨ては…
稔さんで許してくれないかな。
「た、ただいま。稔さんじゃ…だめ、ですか?」
恐る恐るな感じで聞いてみる。
僕を無言で見つめたあと、ため息を一つついて「おかえり。それでいいが、敬語になってんぞ。」と言った。
たしかに敬語になっていた…
「もうこんな時間か。急だが、風呂に行くか?それとも寝て風呂は明日にするか?」
「お風呂に入っていいんで…いいの?」
「ここはもうお前の家でもあるんだぞ?駄目なわけがないだろ。行くなら行ってこいよ。」
さらっとそう告げる稔さん。
稔さんの優しさに胸が暖かくなった。
「行ってくる!」
そう答えた僕に、稔さんは少し笑って、部屋の案内をしてくれた。
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