2 ただいま。

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そして今、大きな家の前に立ってぼーっと見ている。 「おーい葉月。そんな見てると首痛めんぞ。あと入るぞ。」 僕は「あっ、ごめんなさい」と言って玄関へ入った。 入るときはもちろんお邪魔しますと言って。 「なぁ、ここは葉月の家でもあるんだ。"お邪魔します"じゃなくて"ただいま"な。」 「の、野田さんごめんなさい」 僕は急いで謝った。 「あと敬語もなしな。それと、俺の事は野田さんじゃなくて稔な。んで、"ただいま"はどうした?」 ええっ、いきなり呼び捨ては… 稔さんで許してくれないかな。 「た、ただいま。稔さんじゃ…だめ、ですか?」 恐る恐るな感じで聞いてみる。 僕を無言で見つめたあと、ため息を一つついて「おかえり。それでいいが、敬語になってんぞ。」と言った。 たしかに敬語になっていた… 「もうこんな時間か。急だが、風呂に行くか?それとも寝て風呂は明日にするか?」 「お風呂に入っていいんで…いいの?」 「ここはもうお前の家でもあるんだぞ?駄目なわけがないだろ。行くなら行ってこいよ。」 さらっとそう告げる稔さん。 稔さんの優しさに胸が暖かくなった。 「行ってくる!」 そう答えた僕に、稔さんは少し笑って、部屋の案内をしてくれた。
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